Ground

Ground

"Ground"とは、”地球/大地”、そして”身体”を表しています。(*)人生にしっかりと根をはり(grounded)、私たちが持つ潜在能力を十分に発揮するためには、“今、ここ”に意識をむけて、身体内部のバランスを十分にとる必要があります。このプロセスをサポートするために、私たちは意図的なタッチを用いて、身体という意識の乗り物に働きかけます。

エサレンマッサージが他のマッサージと異なるのは、そのユニークなスタイルにあり、手技を超えたタッチング (触れること)についての考え方です。エサレンマッサージのプラクティショナーは事象をホリスティック(全人的)にとらえ、身体と私たちの思考、感情、精神(スピリット)が密接に関係していること、さらには私たちと私たちを取り巻く世界がつながっていることを認識しています。

このエサレンメソッドの中心にあるのは、共感と感謝です。これを意図することで、私たち一人一人が、調和と相手を敬う感覚を取り戻し、内に秘めた癒しのエネルギーに気づくことができるのです。

タッチは人間がもつ非常に基本的な欲求です。タッチの欠如によるスキン・ハンガー(皮膚の”飢え”)と胃の感じる“飢え”は同じくらいリアルです。しかしながら、その欲求は、社会の中で厳しく制約を受けています。タッチというと、まず性的な触れ合いと同一視されてしまうからです。人々は触れることに憶病になり、タッチを通して養われていく能力のことをすっかり忘れてしまっているのです。エサレンマッサージの考え方は、タッチという言語を通して、他者への共感と思いやりを表現していくというものですが、そのような感覚は、癒しを起こすだけでなく、私たちが生まれつき持っている才能であり、容易に思い出すことができるものです。

エサレンマッサージを特徴づけている大切な要素に、呼吸に注意を払うこと、ジャッジしない(判断しない)オープンで瞑想的な状態からワークを始めること ― これはプラクティショナーの感受性をサポートしてくれます ― そして、受け手からのフィードバックを敏感に感じ取ること、などがあります。セッションでは、プラクティショナーのハートから手を通って受け手に伝わったエネルギーが、また手を通って戻ってくるというノンバーバル(言葉を用いない)・コミュニケーションのサイクルが起こります。その過程で、習慣的な緊張パターンや古い感情がしばしば解放されていきます。

エサレンマッサージには、決まった手順というものがありません。長く流れるようなストロークは、私たちは一つであり、すべてのものとのつながり、調和している感覚を生みだします。太極拳のマッサージと呼ばれることもよくあります。受け手の気持ちが和らぎリラックスするように、ゆっくりとした、リズミカルで、波のようなペースで行うことで、副交感神経が優位になり、生理学的な癒しの効果も生まれます。優しくゆっくりとした牽引によって、身体は伸び、背骨、四肢、関節にスペースが生まれます。時折訪れるポーズ(間)や静かな時間は、マインドが感覚運動の情報や心や身体に起きている変化を統合し、処理するのを助けています。

(*)"Ground"という言葉には、地球と身体の両方にしっかりと接地する(ground)/つながるというシャーの意図も含まれています。